お墓参り

「彼女は今の俺を笑って迎えてくれるかな


ショーンを抱いて屈託のない笑みを浮かべる彼女はもう手の届かないところにいる。あの全てを失った日、大切な人はもう二度とこの腕に抱くことは出来ない。


ネイトはその場に座りこみ、左手で顔を覆う。幸せだったあの頃の世界は消えて無くなってしまった。今の世界は過去を風化させた世界だ。


人は過ちを繰り返す___それは間違いではない。


戦後二百年経っても人は争いを繰り返している。レイダーにガンナー、BOS人造人間


「ノーラ、ショーンを生きて君に会わせられなくてごめん」


奪われた息子を追ってインスティチュートに到着すれば、探していたノーラとの大事な宝物がそこに鎮座していた。インスティチュートの主、ファーザーとして。


父親であれば彼を尊重すべきだっただろう。だが、俺はこの世界の人々と関わりすぎてしまった、彼らのことを見捨てることは出来なかったんだ。


ショーンの理想とする未来は多くの犠牲を払ってしまうだろう。そして、それは本当に幸せなモノなのだろうかと疑念を抱いた。


「ブルー、サンクチュアリに戻ろう。みんなが待ってる」


優しく肩に熱が伝わる。心配をして様子を見に来たパイパーだった。物言わぬ冷たい墓石から離れないネイトに不安を覚えたのだ。


「あぁすまないな、待たせてしまって」

「いやいいんだ。ノーラは君の大切な人なんだろう」


朗らかに微笑む彼女はネイトの隣に座り「やあ、ノーラ。初めまして」とノーラに挨拶をする。


「ブルーには世話に世話をしてる側だね。お人良しの正義の味方さんにはいつも振り回されてるよ」


「おいおい


辛口なパイパーに俺は苦笑い。そこが彼女の個性なんだけれど。


「そんな彼の奥さんをしてる君はもっと大変だっただろうな。ブルーの奥さんでいてくれてありがとう」

ありがとう」


誰にとは言わない。ネイトは立ち上がりパイパーと共にサンクチュアリにいる仲間の下へと帰路に付く。しっかりと離さないように手を繋いで___。